第一回 美瑛フェスティバル

2024.6.12|水|-26|水|

橋爪功と仲間たち朗読公演 in 美瑛

橋爪功さんは言わずもがな日本を代表する名優です。映画、舞台、テレビと大活躍されていて、その仲間達とは、今回は鈴木佳由さんです。橋爪功さんも鈴木佳由さんも「演劇集団円」に所属されています。
鈴木佳由さんは、ここ数年美瑛で読み聞かせの公演やワークショップをやり続けて来られました。その縁で、鈴木さんに橋爪功さんを口説いていただきました。本当にありがとうございます。

橋爪功さんは、これまでも定期的に、また何度も朗読劇をやって来られました。その語りのうまさもさることながら、飄々(ひょうひょう)とあるいは自分も楽しげに、時に真剣に、時にはおかしげに語るその様は、まさに名人芸と言えるものです。
鈴木佳由さんは、美瑛では主として子供たちを対象に「読み聞かせ」を継続して来られました。今回は、その様な佳由さんとは別人の大人の演劇人、鈴木佳由をお見せできると期待しています。

朗読する演目は、5種類あります。この選定については、橋爪弥宵(やよい)さんから貴重な意見をいただきました。深く御礼申し上げます。
21日の公演では、原稿用紙4枚ほどに凝縮させたノーベル賞作家、川端康成の想像する究極の<女>の心象を浮かび上がらせた小説「化粧」を鈴木佳由さんが朗読します。まさにこれまでとは違った新しい鈴木佳由をご覧ください。続いて、橋爪功さんが、向田邦子作の「かわうそ」と梅崎春生(はるお)の「チョウチンアンコウについて」の2演目を朗読します。「かわうそ」は、結婚から20年にもなる夫婦でありながら、妻のもう一つの顔が露わになる短編小説。「チョウチンアンコウについて」は、22日にも上演されます。これは聞いてのお楽しみ。男なんてこんなものだなあ、と変に納得してしまう話です。
22日は、まず鈴木佳由さんによる新見南吉の「小さい太郎の悲しみ」の朗読。新見南吉は1913年に生まれ29歳で死去した日本を代表する児童文学作家で、代表作の「ごん狐」は小学校の教科書でお馴染みです。続いて橋爪功さんによる朗読は芥川龍之介作の「桃太郎」です。この桃太郎は、昔話で語られている桃太郎とは全く違った見方をしています。まさに芥川らしいリアリズムで、平和に暮らす鬼の集落に襲いかかる桃太郎の物語であり、まさに現在にそのまま置き換えられる深刻さをもっています。
期待をはるかに越える公演となるはずですので、是非ともご覧ください。

なお、鈴木佳由さんは、6月24日25日26日の三日間美瑛町内で演劇ワークショップが開催されます。札幌座芸術監督清水友陽さんと、2種類の演劇ワークショップです。どちらも6人限定の少数によるワークショップとなります。是非ご参加ください。

  • 橋爪功
(文・市村作知雄)