concept

既存の場所から脱して、
高く、遠くへ飛躍する

NPO法人 月面脱兎社(げつめんだっとしゃ)は、2022年3月に発足し、活動を開始しました。
月面脱兎社という名前には、文字通り、月にいるウサギがその外へと勢いよく抜け出すように、今自分たちの置かれた場所や状況から(誰の許可なく)脱して、新しい世界を自分たちの手で作っていきたいという思いが込められています。

NPO法人 月面脱兎社は、活動を通じて、様々なところへ飛び出していきます。それは、都市や国の境目をまたぎ、まだ見ぬ世界や他者を知る試みであり、「アート」、「芸術」、「文化」というカテゴリーにとらわれずに、新しい領域にたどり着くための実験でもあります。

このNPOの構成員は、芸大の卒業生・修了生が多くを占めています。学生時代に、アートや創作について考え、実践を行っていた人たちがその後、どのようにして社会の中で自立し、継続的に表現活動に取り組めるのか。また時流に流されず、かつ外的な力に迎合せずに、突飛な発想から新しい価値を創造できるのかを社会との関わりの中で探求していきます。

代表者より

NPO法人 月面脱兎社は、新型ウイルスによるパンデミック、自然災害、戦争が同時に起こる混沌の中で設立されることになりました。世の中には、数え切れないほど多くの未解決課題がありますが、それらを棚上げしながら、今日もなんとか社会的な営みを続けています。
漠然とした不安、諦め、絶望が世界を覆い、いつの間にか明るい未来を語ることさえある種の胡散臭さがつきまとうように感じます。新しい試みには希望よりもリスクへの想像力が働くようになりました。私たちは、暗澹たる雲行きの下で、いずれ来る未来を向かい入れなければならない状況にいると思います。

高く遠い場所にたどり着くためには、飛躍のための滑走路が不可欠です。月面脱兎社は、幅広い年代から構成されており、バックグラウンドも専門性も様々です。複雑な世界を複雑なままに捉えるには、確固とした<個>からなる複数の視点によって、多面的に物事を理解し、発想していく環境が必要です。年齢、性別、国籍、宗教、思想、収入の違いがあるうえで他者と丁寧に関わっていく中に、想像力の躍動が生まれ、未来への小さな希望の蕾を見出せるのだと信じています。また、一人のブレインによる決定ではなく、集団で知恵を絞り、手立てを考えるモデルを作り出すこともこのNPOの使命だと考えています。

NPO法人 月面脱兎社は、過去の延長線上ではないところに現在を見出し、未来に向けた方途を模索していきたいと思います。同時に、自分たちの死後も続いていくこの世界に思いを馳せながら、ここでの蓄積をさらに次の世代に手渡していきたいと思います。

2022年4月
NPO法人 月面脱兎社
代表理事 松尾 加奈

member

 
代表理事 松尾 加奈
Kana Matsuo

NPO法人月面脱兎社 代表理事、舞台芸術の稽古場リサーチャー / 記録者

1993年東京で生まれ、大学の4年間は京都に在住。 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻在学中に、 ロンドン大学ゴールドスミスカレッジWorld Theatresコースに留学し、 修士号を取得。舞台芸術の稽古場における集団創作のあり方をリサーチし、 自らが現場に入ることで、何を作るかだけでなく、いかに作るかという創作プロセスを記録する。 一人のブレインによる決定ではない方法でプロジェクトを作りたいと考えている。 最近は、茶道の演劇性にも関心を広げている。

©️前野真榛
副代表理事 吉田 駿太朗
Shuntaro Yoshida

東京藝術大学大学院音楽文化学研究領域博士課程修了・博士(学術)

専門は現代ダンス研究で、特にアマチュアダンサーの動きやダンスにおける間違いと見なされる「誤動」、 AIにおける振付、環境ダンスと非人間の振付について研究・実践している。 現在は、ベルリン芸術大学やコンコルディア大学のプロジェクトに参加し、理論と実践を橋架する研究を続ける。 2018年よりアートコレクティブMapped to the Closest Addressの一員としてワークショップ、書籍の発行、作品制作などを行う。 近年は、大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ『誤山を眺める』(2022)や『地衣類のスコア』(2022)を発表。 また、2022年より書評オンラインジャーナルTokyo Academic Review of Booksの共同編集長を務める。

 
副代表理事 住吉 梨紗
Lisa Sumiyoshi

俳優。劇26.25団所属

幼少期をアメリカなどで過ごし、日本語、英語、中国語(北京標準語)を話す。 東京芸術大学でさまざまなかたちの舞台芸術、その他の芸術形態に触れ、下北沢で日本語のストレートプレイに出演する傍ら、 日本舞踊、長唄三味線などの伝統芸能も学び、日本語と英語のバイリンガル即興コント集団、パイレーツ・オブ・東京湾の一員としても活動。 外務省職員として、在ロサンゼルス日本国総領事館で副領事も務めた。日本の小劇場界では異例の海外支局長の肩書を持つ。 多国籍のメンバーが集まって共同制作をする舞台なども複数経験。六本木や赤坂などのジャズクラブでジャズを歌うこともある。 東京藝術大学芸術環境創造科修士課程修了。

©️吉原悠博
理事 加藤 種男
Taneo Kato

祝祭芸術を提唱する俳諧老人

アートプロジェクトのネットワーク形成に取り組む。過疎、離島を中心に地域創造、創造都市を視野に入れたアートプロジェクトを推進。 芸術文化を専門家の独占から解き放ち、コミュニティの再生と、新たな社会創造への源泉ととらえ、個人の表現にとどまらない、 市民主体のプロジェクト型の協働の表現を、祝祭芸術と名付けて展開する。 零細企業における現場経験、アサヒビールでの企業メセナの経験、文化芸術創造都市・横浜の活動に参画したことがこれらの活動に生きているだろう。 現在は、遺言のつもりで本にまとめる仕事を中心にしており、『芸術文化の投資効果』に続いて『祝祭芸術』を上梓した。 少なくとも『様々なるアートプロジェクト』の三部作は仕上げたい。

 
理事 楊 淳婷
Chunting Yang

東京藝術大学国際芸術創造研究科特任助教

台湾台北市生まれ。博士(学術)。東京藝術大学国際芸術創造研究科特任助教。立教大学社会学部兼任講師。 自身の経験から移住や移民、社会とアートの関係性に関心を抱き、 アートプロジェクト「イミグレーション・ミュージアム・東京」の企画統括(2019年度)、 東京芸術劇場シアター・コーディネーター養成講座《多文化共生・基礎編》(2021年度)の監修など、 理論と実践を往還する取り組みに携わっている。

©️Jouji Suzuki 
理事 吉本 光宏
Mitsuhiro Yoshimoto

株式会社ニッセイ基礎研究所 研究理事・芸術文化プロジェクト室長

1958年徳島県生。早稲田大学大学院(都市計画)修了後、社会工学研究所等を経て、1989年からニッセイ基礎研究所。 文化政策や文化施設の運営・評価、創造都市、五輪文化プログラムなどの調査研究に取り組むとともに、東京オペラシティや国立新美術館、 東京国際フォーラム等の文化施設開発やアート計画のコンサルタントとして活躍。 文化審議会委員、東京芸術文化評議会評議員、東京2020組織委員会文化・教育委員、国立新美術館評議員、 (公社)企業メセナ協議会理事、日本文化政策学会理事、東京藝術大学非常勤講師などを歴任。 主な著作に「文化からの復興―市民と震災といわきアリオスと(水曜社)」「アート戦略都市(鹿島出版会)」など。

 
理事 加藤 弓奈
Yumina Kato

急な坂スタジオ ディレクター、NPO法人アートプラットフォーム代表理事

横浜生まれ。早稲田大学在学中にインターン生として横浜の小劇場、STスポットで制作アシスタントを務め、卒業と同時に就職。 2005年より3年間館長を務める。 2006年急な坂スタジオの立ち上げに参加、2010年より現職。 アーティストの創作活動をサポートするプログラムを中心に急な坂スタジオを運営。 多くのアーティストを輩出している。 また、横浜を中心として国内外の様々な空間でのアートプロジェクトや公演のプロデュースに取り組んでいる。

 
理事 武田 侑子
Yuko Takeda

パフォーミングアーツマネージャー

パフォーミングアーツマネージャー。東京芸術大学大学院美術研究科芸術学専攻修了。 2017年NPO法人アートネットワーク・ジャパン入職。フェスティバル/トーキョー広報(2016)、制作(2017-19)。 2017年より”アジアシリーズ”を担当し、キュレーション、招聘、共同製作作品の制作を担当。 2020-2021年まで、文化庁新進芸術家海外派遣制度研修員としてWest Kowloon Cultural District (香港)に勤務。 国境、ジャンルなど、あらゆる境界を越えてなされる創作に関心を寄せる。

 
理事 市村 作知雄
Sachio Ichimura

1983年山海塾の制作として、アート制作者のキャリアを始める。 以後一貫してアート制作者の地位と仕事内容の向上に取り組む。 1999年に東京国際舞台芸術フェスティバルの事務局長を引き継ぎ、東京国際芸術祭と改名し、フェスティバルにディレクター制度を確立させる。 アラブ諸国やドイツの演劇などを日本に紹介するとともにドラマトゥルクを日本で確立させる事業を行う。 2009年フェスティバル/トーキョーを設立、実行委員長に就任。2014年にディレクターに復帰、2018年まで務める。
同時に1986年からNPOの研究を始める。2000年にNPO法人アートネツトワーク・ジャパンを設立。 豊島区の閉校を活用して、「にしすがも創造舎」を開設し、不足する稽古場の解決にあたる。 以後、横浜にも「急な坂スタジオ」を設立。2003年より東京芸術大学准教授(17年退職)。 若いアーティストや制作者の育成にあたる。

 
理事 居原田 遥
Haruka Iharada

インディペンデントキュレーター、東京芸術大学大学院国際芸術創造研究科博士後期課程在籍、日本学術振興会特別研究員

1991年沖縄県生まれ。東京藝術大学大学院博士後期課程在籍。 沖縄をはじめ、東アジア、東南アジアのアート・アクティビズムを研究・調査しながら、 同地域の政治的・社会的な実態を表現するドキュメンタリー映画、アート、音楽などのイベント・展覧会・プロジェクトに取り組むキュレーターとしても活動。 主な企画に、ドキュメンタリー映画『CONSTELLATION』(中森圭二郎監督)企画・制作(2016年)、 「美しければ美しいほど」企画キュレーター(原爆の図 丸木美術館、埼玉、2018年)、 「琉球の横顔-描かれた「私」からの出発」(沖縄県立美術館・博物館、2021)企画協力、 「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」(東京芸術大学大学美術館陳列館、2022年)企画キュレーターなど。

 
監事 蓮池 奈緒子
Naoko Hasuike

劇団制作、劇場勤務を経て2000年にアートNPOを立ち上げ、事務局長を経て理事長就任。 自治体との協働を推進し、舞台芸術の国際フェスティバルの立上げ・廃校活用のアートファクトリーの開設などを展開した。 17年間の活動後、都内の公益財団法人に転職し公立劇場の支配人を4年務め、2021年12月早期退職。 人生リアル100年時代、100歳までの40年間を見据え、仕事を離れ2022年より全く別な人生を歩み始める。

 
理事 李 丞孝
Seunghyo Lee

ロゴについて

NPO法人月面脱兎社の設立に伴い、以下のロゴが誕生しました。
月からウサギが飛び出すように、「既存の場所から脱して、高く、遠くへ飛躍する」思いが込められています。

作成:椎木 彩子
モーション:坂本 大幸

作成:楊 淳婷

団体概要

団体名

特定非営利活動法人 月面脱兎社

役員

代表理事

松 尾  加 奈

副代表理事

吉 田  駿太朗 住 吉  梨 紗

理事

加 藤  種 男 楊    淳 婷
吉 本  光 宏 加 藤  弓 奈
武 田  侑 子 市 村  作知雄
日 髙  遥 李    丞 孝

監事

蓮 池  奈緒子
代表理事 松 尾  加 奈
副代表理事 吉 田  駿太朗
副代表理事 住 吉  梨 紗
理事 加 藤  種 男
理事 楊    淳 婷
理事 吉 本  光 宏
理事 加 藤  弓 奈
理事 武 田  侑 子
理事 市 村  作知雄
理事 日 髙  遥
理事 李    丞 孝
監事 蓮 池  奈緒子